花井→モモカン しのーか、みずたに、さかえぐちのもどかしい△関係 いずみ→みはし(いずみは?) 的なテキスト糖度0をつらつらつづれたらいいなあな期間限定個人的な夏が終わるまでサイトにございます。
2007'09.02.Sun
ノットパーフェクトスター 
スプートニク続きのイズミハです。
嘘です。三橋の片想いです。
暗いです

カテゴリのSSからさきにスプートニク、スロウ〜に目を通しておくと楽しめるような気がするだけです。

幸せにする気はあるのに
前触れもなく目が覚めた。寝ていたことにも気がつかなかった。
肌寒さを感じて顔を上げれば暗く染まった空が見える。
座り込んで硬い給水塔にもたれ掛かって寝ていたおかげで体が変な風に固まっている気がした。
寝起きのぼんやりした頭で時計を見れば蛍光の針が指し示す先は七時に届こうとしていた。
どうして屋上で寝ていたのか咄嗟に思い出せずに空をみた。

乾いた目にはぼやけた星の光。
どこからどこまでが星なんだろう。ひかりと星の区別はないのかな。
幻影の星、だ。

じわりと涙が滲んできて、拳で拭う。
それでも収まらなくて、体操座りのまま膝頭に額を寄せた。

___たしか、俺、告白されて。


傷つけた。あんなに優しくていいこなのに。
明日もきっとあの子は笑っておはようって言ってくれるんだろう。
それで、泣きはらしたことを隠せない目で俺を見て、うさぎみたいな赤い目で俺をみるんだ。
練習試合のたびにがんばってね、都合付いたら見にいくよなんていってくれるんだろう。

それとも余所余所しく目もあわせないんだろうか。

そのほうがいい。
他人から責められるのは自責の念にとらわれるよりよっぽど気が楽になる。


でも____

おれは、卑怯だ。


もう一度体操座りになって目を閉じた。
あと、すこしだけ。
このままで。



それは、突然だった。
「・・・よーっす。」
無防備にさらしていた首筋に押し当てられた生ぬるい温度と硬さに飛び上がった。
同時に人の気配にようやく気が付いた。
あしもとに転がった自分のカバンにも。
暗さになれない目ではわからないけれど、きっといつもと同じ表情でいるであろうその人にも。
視線があったと感じた瞬間彼は黙って俺の横にしゃがみ込んだ。
「お前ずーっとねてたろ。俺が飲み物かいにいったりカバン持ってきたりブラバンが演奏しだしてもぴくりとも動かなくてさぁ。」
なにも言えずにいる俺を置き去りにいつもどおりの彼は温んだ缶を俺の手に押し付けた。
触れた指先から静電気のようなものが走った、気がした。

ぱちり。

響いた、気がした。

涙がでる。


「ど、うして。泉くんが、ここに・・・。」
お礼も言わずに缶を持て余す俺を見もせずに泉くんはただ自分のコーヒー缶を傾けた。
「・・・全力で走ってくる泣き顔のクラスメイトと、そいつに呼び出し喰らった奴が帰ってこないって状況、ほっとけねーだろ。」
いつもよりぶっきらぼうに呟かれる。これは、彼がばつの悪さを感じているときの癖だ。
そうと気が付く前はたびたび怯えた。怒らせてしまった。嫌われた。それへの恐怖はなかなか消えない。消せない。
「ない、てた・・?」
コーヒーを啜る音。気まずそうに頷く。
「そ、っか。」

風がゆっくり屋上を撫でてすりぬけた。

「なんでさ、断ったんだ?」
真っ黒な目を夜空に向けたままぽつりとかれは呟いた。
夜空の黒より彼の目のほうがすきだ。そんなことを考える自分を叱咤する。

いつものようにぐるぐると考え出す俺に泉くんは視線も遣さない。
「あいつさー。ホントに三橋のこと好きじゃん。お前のことずっと見てたんだろ?」
空になった間を持て余しながら泉君はやっぱり俺に視線を遣さなかった。
どうして、よりによって彼にそんなことを聞かれるんだろう。
つんと鼻の奥が痛む慣れた気配。
人に心配されるのはとてもくすぐったくて、申し訳ないけど嬉しかった。
けれど、今だけは。彼にだけは。


今だけは。




涙で視界がぼんやりと歪む。
空が落ちてくる。
だめだ、そう思う前に口走っていた。



「好きな人が、いる、から・・・っ!!」


闇に慣れた目は嫌になるくらい全てを映し出す。
涙でぼやけた幻影の星も、つめたい夜風に吹かれて頼りないフェンスも、転がったままのカバンも、流れる雲も。


「でも、その人には俺は、い、えないからっ!」

その人は、俺のことなんか。
いずみくんはおれのことなんか。
みはし、つぶやかれた乾いた声。ゆっくり伸ばされる腕。
もう、限界だった。


「だから・・・付き合わない んだ。」

足元に転がったカバンを握って今度は俺が弾かれたように走り出した。
あのこもきっと同じ気持ちでこの階段を駆け下りたんだとおもう。
まだ疎らに人の気配がする校内をめちゃくちゃに走りながら彼のことを考えた。
みはし。
そう、彼は擦れた声で俺を呼んだ気がする。
呼び止めるにはあまりにも弱くて、でも聞かなかったことにするにはあまりにも切なくて。


全て、今日のことはなかったことになったらいい。



ころがった消しゴムを追いかけた細い指先を握り締めたこと
わざと屋上にしようともちかけたこと
告白されたこと、ふったこと、なぜか隣にいたかれのこと

薄い月光に照らされて呆然と、まるで置いていかれたことに気が付いた子供のように、抜け殻みたいに立ち尽くす彼の姿も。



きっと全部、幻影の星。




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